不即不離という言葉があります(元は仏語)。
「二つのものが近すぎず離れすぎず、ほどよい関係にあること」を意味しますが、このような距離感が人間関係には大切です。
殺人事件の約半分は身内トラブルだといいますが、悪人同士が近づけば衝突が起きやすくなります。
ファイナンシャルプランナーの太田差惠子は次のように言います。
「二世帯住宅では、口も利かないという親子は意外に多いものです。距離が近すぎるがゆえに、ヒビが入りやすい。かつての関係を盾に取って、子に頼りすぎたり、逆に指導しすぎたりすれば、親子の縁を絶つほどの事態になることもあります」
「老後になっても自立した生活で、距離を一定に保つほうがいいと思います。近くに住むにしても『スープの冷めない程度の距離』を心がけ、同じマンションでもフロアは別にするべきです」
人間関係はガラスのコップにたとえることができます。ガラスのコップは荒々しく扱えば簡単に割れます。同様に、人間関係も繊細な扱いが必要です。
人間関係は複雑です。心が複雑だからですが、たった一言、ほんのわずかな行為で、長年努力して築き上げた信頼関係が一瞬で壊れることがあります。「仲が良くて羨ましい」と思う人は多いですが、このように人間関係は大変なことなのです。
「自明なのは、気軽な関係というものは、何らかの関係では絶対にない、ということである」(ウィトゲンシュタイン/哲学者)
結論から言えば、どんな人間関係も壊れる運命にありますが、人間関係を築く努力も大切です。