高層タワーマンションに住めば幸せになれるか

幸せを手に入れたために新たに生じる苦しみがあり、それを仏教では有無同然ということをこちらの記事で詳しく説明しました。

【幸福の欠点】有無同然 成功する苦しみがある

ここではタワマンをテーマに説明します。

週刊誌に「湾岸タワマン28階に住んだのに、予想外の“負け感”。主食はコンビニ弁当」というタイトルの記事がありました。
37歳の酒井優一さん(仮名)は、以前からタワマンに憧れており、湾岸エリアでも人気の月島にある賃貸タワーマンションの28階で一人暮らしをはじめたといいます。しかし、彼は数々の不平不満を述べています。
「ウチのマンションは1階から24階までの低層階用と、24階から最上階までの高層階用のエレベーターがあるんですが、僕の部屋は高層階のなかでは低いほう。だから、誰かと一緒に乗る時は自分のほうが低層で先に降りることが多いんです。乗っている30秒間は、どこか負けた感じがしますね・・・。『鶏口牛後』という言葉があるように、“上の下”ではダメなんですよ」
「キレイな夜景が見たくてタワマンに住んだはずなのに、毎日同じ景色を見ているとさすがに飽きて、1か月もしないで感動はなくなりました」
「月20万円ということは、1日あたり7000円ほどかかっている計算になります。しかも寝るだけで。7000円も払えば、都内のちょっとしたビジネスホテルくらいには泊まれますよね。仕事柄、夜遅くまで長時間働くこともありますが、意地でも帰って寝てやろうって気持ちになりました」
「以前は山手線の駅から徒歩3分の普通のマンションに住んでいて、電車待ちなんて2分程度。それに慣れていたから、どこの駅も不便にしか感じません」
他にも不満を述べており、「以前のマンションより家賃は2倍になりましたが、不満まで2倍になりました」と言います。
タワーマンションを舞台にしたドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」の脚本家である池田奈津子は次のように言います。
「タワマンは、まさに成功者の集う夢の世界。でも、住む方々に話をうかがうと、人間関係に苦しんでいる人が少なくないようです。下層階の人から上層階に住む人への『嫉妬』も、あると思いました。上にいくほど眺めがよく、その分価格が高いこともみんなわかっています。そうすると子ども同士のつきあいでも、上の子が下の子に対して偉そうな態度をとるというようなことが起こります」
「中下層階同士でも、隣はうちより日当たりがいいとか、あそこは同じフロアなのにうちよりいい車に乗っているとか、嫉妬の種はいくらでもあります」
「同一の空間で生活を営んでいるため、ほんのわずかな差が気になって、嫉妬が生まれるのです」
私自身にもまったく体験がないわけではないので、少し書かせて頂きます。
私は学生時代含め、風呂なしアパートに6年以上住んでいたことがありました。体を洗う場所は台所やコインシャワーがメインでしたが(たまに銭湯)、当時は、まったく不便を感じませんでした。
その後、社会人となり、勉強を兼ねてタワマンに住んでみました。風呂無しアパートからタワマンですからギャップが大きく、最初は新鮮で幸福感がありました。部屋は広く景色も綺麗で、フロントにはコンシェルジュもおり、どんな知人を呼んでも感嘆します。「成功」「勝ち組」「進歩」「優越感」etc.そういった言葉が並ぶのも理解できます。
ところが、先ほどの酒井さん同様、段々と感動はなくなり不満が出てきました。設備の不満、コンシェルジュへの不満etc.他の人も言っているように、上層階も気になってきました。上層階の人と同じエレベーターに乗るたびに嫌な気分になるのです。人間関係も、そういうところに住む人は見栄を張る人が多く、あまり良い印象はありません。エレベーターの待ち時間も、1日何往復ともなると地味にストレスです。アパートの時は待つ必要がなかったのでより感じます。このように最初は気にならなかったことが、とかく気になってくるのです。  
結論から言えば、値段に見合うメリットを感じなくなり引っ越しました。引っ越し先は、風呂はついていたものの、タワマン時代に比べるとグレードが下がったので最初は不便でした。しかし、それも次第に慣れました。今も同じ場所に住んでいますが、もしまたタワマンに引っ越せば最初は幸せを感じ、もしまた風呂無しアパートに引っ越せば最初は不幸に感じるでしょう。そして、その後はこれまでと同じような流れになるでしょう。
また、ある時は高価なスーツを買ったこともありました。汚れるのが心配なので普段使いにはできず、たまに着れば細心の注意を払います。家に保管するだけでも劣化していくので、着ていないのにクリーニングに出さなければなりません。もったいないので着る頻度を増やし、劣化していくにつれ、さほど注意もしなくなっていきました。これまでもそうであったように、これからも高価な物を買うたびに似たような流れになるでしょう。

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