ミシュラン三ツ星シェフになれば幸せになれるか?

幸せを手に入れたために新たに生じる苦しみがあり、それを仏教では有無同然ということをこちらの記事で詳しく説明しました。

【幸福の欠点】有無同然 成功する苦しみがある

ここでは一流シェフをテーマに説明します。

当時、最年少でミシュラン3つ星を獲得した料理界の鬼才、マルコ・ピエール・ホワイト。しかし、彼は星を突如返上します。その理由をフォーブス誌にこう語っています。
「星をもらうのはいいんだが、それを維持するとなると、まあ、ちょっとその・・・・疲れるんだ。そして、私には3つの選択肢があった。
その1、栄光の地位にとどまり続けるために、三ツ星シェフとしての感覚を維持する努力をする。
その2、実際には厨房に立っていない時でも自分が腕を振るっているように見せかけ、客人には『ミシュラン価格』を請求する。自分で自分の人格を疑いながらね。
そしてその3、勇気を奮って、ミシュランの世界に宣言をする。すなわち、三ツ星シェフの名を返上し、引退するとね」
そして、「守らなければならない、他人が作った評判がなくなって、自由になったよ」と言います。
また、ミシュランガイドで18年連続で三つ星を獲得してきた「ブラス・ル・スケ」のオーナーシェフ、セバスチャン・ブラスは、「私たちはたくさんのものを手にしてきた。しかし、同時に三つ星があることで大きな重圧を抱えてきた。緊張を感じることなく穏やかにもっと自由な気持ちで料理に取り組みたい」と語り、覆面調査員による抜き打ち調査や、常に評価に応えるプレッシャーから解放されたいとコメントしています。
「世界一多くの星を持つシェフ」といわれた大御所ジョエル・ロブションも1996年にいったん返上しています。当時、「金塊のように高価な手長エビを仕入れ、白綿のような身だけをすくう日々。常に完璧を求めるあまり、消耗した」と述べたといいます。
ミシュランの評価は本国フランスでは相当なもので、過去にはプレッシャーから自殺した人もいます。
1991年、フランスのレストラン「コート・ドール」はミシュランで念願の三ツ星を獲得しました。売り上げは倍増し、オーナーシェフのベルナール・ロワゾーは、1995年、フランスの最高勲章(レジオン・ドヌール勲章)を受章します。しかし、2003年、フランスで最も強い影響力を持つレストランガイド「ゴー・ミヨ」が「コート・ドール」の評価を下げます。ミシュランの格下げを恐れていたというロワゾーは、同じ年の2月24日、猟銃で頭を打って自殺しました。
2016年にもスイスの三ツ星レストラン「ロテル・ド・ヴィル」のオーナーシェフであるブノワ・ヴィオリエが銃で自殺しており、報道によると、ヴィオリエもまた、苦労して手にした成功が崩れ去ることを恐れていたといいます。
リアリティ料理番組「トップシェフ」に出演しているヒュー・アチソンは次のように語ります。
「料理業界はストレスだらけで、シェフたちは常に監視されている状態です。強烈な個性を持った多くの人たちが特別なことを成し遂げようと、しのぎを削っています。この状況を生き抜くのは容易ではなく、犠牲者が出るのも不思議ではありません」
CNNのフードブログ「Eatocracy」を運営しているライターのカット・キンズマンは600人以上の料理人を調査、その結果、多くの料理人が、「うつ病」「不安神経症」「薬物乱用」に苦しんでいることが明らかになったといいます。

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