催眠とは
催眠は睡眠とは異なり、催眠中は外からの暗示にかかりやすく、催眠中に与えた暗示が催眠解除後にも影響を及ぼします。
たとえば、自殺や殺人を命じて催眠を解除すれば、実際に自殺をはかったり人を殺したりすることがあるため、使い方次第では非常に危険なものです。
日本でも明治時代、催眠術が流行現象となっており、催眠術を利用した犯罪事件も発生していたため、軽犯罪の取り締まりの対象にもなっていました。
催眠術の例
たとえば、「火傷が起こります」と暗示をかけると火に触れていないのに実際に火傷ができたり、ロープに縛られた時の体験を暗示するとロープの跡のように見える深く細かい凹凸がたくさんできるといった事例があります。同様に、体に文字を浮かび上がらせたり、女性の乳房を大きくしたり、出血を抑制したりといった事例もあります。
ハーバード医学大学院の心理学者、ディードリ・バレットによる、ある同性愛者の男性に催眠術を施した事例も変わっています。彼は長い間、子供を身ごもりたいと願い続けており、暗示をかけたところ、妊娠したわけではないのに腹部が大きく膨らみ、乳房ができて母乳が出て、つわりまで起こったといいます。
ちなみに、モントリオール大学の神経科学研究センターにて准教授を務めるマリオ・ボーリガードによれば、「現在西欧においては、局所麻酔と催眠術との併用がどんどん一般的になってきている」とのことです。
退行催眠
退行催眠によって過去世の記憶を引き出す事例もあります。
医師で前世療法(催眠を利用した心理療法の1つ)の施術も行っている加藤直哉によれば、体外離脱体験など、臨死体験で見られた特徴とほぼ同じ報告をするといいます。
また、催眠で胎児期の記憶を引き出している事例もあります。
人格が変われば身体も変わる
ちなみに、同じ人でも出てくる人格によって身体的変化が起こります。
「母親によって何度もタバコを押しつけられた経験を持つある女性の場合は、ある交代人格が表に出てきた時にだけ、皮膚に赤い傷跡が浮かび上がったのである。また、ヘロイン依存症の交代人格を持つ女性の場合は、その人格が出てきた時に限り、注射針の痕が皮膚に現れた。現れる交代人格によって異なる身体的変化が起こるのは、動かしがたい事実である」(マリオ・ボーリガード)