「経験は、あなたが禿げた時に手に入るクシである」 体験の欠点

体験というのは強い力がある一方で、遅いという欠点があります。
詩人のエッシェンバッハは、「若い時われわれは学び、年を取ってわれわれは理解する」と言いましたが、この流れでは遅いのです。
たとえば、1億円を手に入れた幸福感を、手に入れて初めてわかっていたのでは遅いということです。
「経験は、あなたが禿げた時に手に入る櫛である」というアルゼンチンの古い諺もあります。体験して初めて理解するのは下の下です。
ですので、体験以外の方法で理解することが大切です。
たとえば、政治家のビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言い、芥川龍之介は次のように、これまでの自身の経験に照らし合わせることが大切であると言っています。
「何よりも心得なければならぬことは、その作品の中の事件なり、あるいはまた、人物なりを読者自身の身の上に移して見ること、即ち体験に照らし合わせてみることであります」
こういったことも大切ですが、仏教では聴聞を勧めます。聴聞し、まずは頭だけでも理解することが大切です。

仏法は聴聞に極まる。聞くだけなのに難しい理由

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