回向せしめたまへり

回向とは、廻向とも書き、「差し向ける」「与える」といった意味があります。回向には、自力回向と他力回向の2種類あります。

自力回向

自力回向とは、自力の善で救おうとすることで、たとえば聖道門の修業がそうです。

他力回向

自力回向に対して、阿弥陀仏のほうから人々に救いの働きを差し向けることを他力回向といいます。
その他力回向に、往相回向と還相回向の2つがあります。

往相回向

往相回向とは、穢土から浄土へ行くことです。

還相回向

還相回向とは、衆生を救うために浄土から穢土に戻ってくることです。
「『還相回向』と言うは、すなわち利他教化地の益なり」(浄土文類聚鈔)
(訳:還相回向というのは、すべての生物を自由自在に救う力を得るという利益である)

つまり、浄土へ行くのも、人を救いに戻ってくるのも、阿弥陀仏の力によるものです。
「往還廻向由他力」(正信偈)
(書き下し:往還の廻向は他力に由る)
(訳:往相も還相も他力の回向である)

「もしは往・もしは還、みな衆生を抜きて生死海を渡せんがためにしたまへり」(教行信証)
(訳:往相も還相も、みなすべての生物の苦悩を抜いて救うために与えられたものである)
死の解決をすれば、この2つの利益を得ることになります。

「他力の信をえんひとは 仏恩報ぜんためにとて 如来二種の回向を 十方にひとしくひろむべし」(正像末和讃)
(訳:死の解決をした人は、阿弥陀仏の恩に報いるために、往相と還相の二種の回向を、すべての世界に広めるのである)
念のため言いますと、利他をしてもしなくても喜べる境地であり、人が集まっても集まらなくても喜べる境地です。

ちなみに東条英機は、「われ往くもまたこの土地に還り来む 国に報ゆることの足らねば」と詠んで、戻ってくることを誓って死んでいきました。

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